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【怒らない子育ての本当の意味】

投稿日:

『怒らない(叱らない)子育て』という言葉を聞いた事があると思います。
昨今の虐待報道を受け子育ての在り方がクローズアップされる中、

メディアや書籍でよく目に耳にする言葉だと思います。
怒らない子育てって どんな子育てなんでしょうか?

 

[怒らない子育て]

というキャッチコピーのようなこのフレーズ、
読んだ通りに解釈すると「ああ 子供を怒らない子育てなのね」と、考えるまでもなく
反射的に頭に浮かぶと思います。
でも普通に考えて 良い事も悪い事も、安全も危険も 何もわからない子供さんに
なんでもかんでも 「良いのよ 良いのよ オールOKよ~」で済むハズもないわけで
当然、このキャッチーなフレーズには

[怒らない子育て(の続きの言葉がたくさん隠されているのです)]
ここ大事!(かっこ)の中がとってもダイジ!

本当の意味を深く考えず 字面だけを追っていくと
子育てがオカシナ方向に行ってしまいますので注意が必要です。

 

●保育士のリアル

保育士お餅さんの保育の現場でのエピソード

保育士のお餅さんが現場で感じた「怒らない子育て」についてのインタビューです。

 

が現場にいた頃
凄く感じていたのは

[怒らない子育て]
という言葉が一人歩きしているように感じました

今はスマホから簡単に様々な情報を手に取れる時代です。

一昔前のお母さん達より今のお母さん達の方が
子育て情報がたくさん入っているでしょう。

最も多く入っているのが

『怒らない子育て法』

これが多いかな?と思います。

私の保育も確かに怒りません。
ただし、全く怒らない、という訳ではありません。

私が「怒るべきだ」と判断するのは

■自分の命に危険があるような行為をした時

■人に危害、怪我をさせる恐れがある時

そんな時です。

後は怒るのではなくて、

 

『伝えます』

『考えてもらいます』

『何故それをしたらダメなのか』

 

本当の意味で心に落としてもらいます。
それでないと

例えば
「机に乗ってはダメでしょ!降りなさい!」

と強く叱った所で
何で机に乗ってはいけないのかが分からないと

子どもの認識としては

お母さんに怒られるから、机に乗ってはダメ  となります。

お母さんがいなければ
また、机に乗ってしまいます。

子供の認識は
「お母さんに怒られるから机に乗ってはいけない」
という事しかありませんから。

 

保育の現場から①
怒らないお母さん
『壁一面にラクガキしても怒りませんでした~』

現場にいた時
忘れられない事件があります。

1人のお母さんが

「先生~
うちの子昨日家の壁一面に
クレヨンで落書きしたんです~

でも怒りませんでした~
怒らないのがいいことなので~

と言ったお母さんがいます。

 

衝撃でした、、、
賃貸のアパート、、、
壁一面に落書きしてしまってどうするんだろう?

お友達の家で壁に落書きしてしまったらどうするんだろう?

まだ年齢が小さければ小さいほど
善悪の判断はもちろんつきません。

子どもはみんな吸収していきます。

その時期に親が周りの大人が
善悪の判断を伝えていく事が重要だと思います。

それが子どもの基礎になります。

住宅も基礎を疎かにしてはグラグラしてしまうのですから
乾いたスポンジが水を吸うようにどんどん吸収していく幼児期こそ
それを伝えて行かなければならないと私は思います。

壁一面ににラクガキをして
親からはなんの反応もなく ニコニコしているだけ。

子供はその行いが良い事なのか 悪い事なのか その判断もつかず
過ごしてしまいます。

これは
「怒らない子育て」ではありません。ただの「放置」になってしまいます。

「賃貸の部屋の壁一面にラクガキをしたら」
感情の任せて怒るのではなく

お部屋の壁はお絵かきをする場所ではない事を
キチンと伝えなくてはいけません。

そして考えて貰います。
そして絵を描いていい場所、物を、伝えて

それを一緒に考え、理解してもらう事が大切です。

「怒らずに放置しておく子育て」では無いのです。

感情に任せて「怒る」前に 伝える事が沢山沢山あるのです。

 

昔、尊敬する先輩保育士に

子育ての三種の神器は

愛と信頼と厳しさだと教えてもらった事があります。

いけない事はいけない!
それをきちんと伝えなければ

子どもを真の自立へと導けません。

「怒らない子育て」
その言葉を表面だけ捉えるのではなく

その言葉の本当の意味を
理解し
いけない事をした時には
いけない!と

愛と信頼と厳しさを持って
子どもに接してもらいたいのです。

 

保育の現場から②
怒れないお母さん
『この子が傷ついてしまう』

後は怒れないお母さんがいます。

 

・怒ったら嫌われてしまうのではないか?
・この子が傷つかないだろうか?
・自分の子どもの現実を受け止められない。

そんな恐怖心がお母さんの心の中にあるのです。

 

 

先日こんな事がありました。
トール君という男の子のお話です。

英語教室のテストの点数で負けたトール君が
勝った女の子を蹴ろうとしました。
私はそれをとっさに止めに入ったのですが
トール君は私を蹴りました。

蹴られて蹲っているところを
更に頭を蹴りました。

これ
実は2回目です。

1回目は
お友達の家に私と子ども達で集まった時に

トール君のお母さんが席を外した時に
友人の子どもに殴りかかったのです。

理由はテレビゲームに負けたという理由でした。

私が慌てて止めた時に
それは当たったのではなく
止めに入られた事に腹を立てて私を蹴りました。

友人もその光景を見ていて
トール君ママに伝えてくれたのですが、、、

トール君ママはトール君を怒れなかった。

2回目の今回もそうです。

トール君ママは

「それはいけない事です、、、
夜も眠れなくなってしまいました、、、
胃が痛いです」

とは言うものの、、、

「お餅さんから聞いたんだけどね、とトール君に話をすると
お餅さんが悪者になってしまうから怒れません、、、」

そして、

「トール君が自分がとんでもないことをしたと気がついたら

トール君が傷ついてしまうので伝えられません」

「どうしよう、、、」

と言うのです。

こんなの
子供を怒れない言い訳でしかありません。

もしトール君が 私の子どもならば
叱りつけるでしょう、、、

傷ついたら困るって、、、
気がつかせるんですよ!

自分がいけないことをしたという事に、、、、

どうなっちゃってるの?と
思いました。

そしてトール君ママから出るのは

「わが子は天真爛漫で可愛い」
自分の子どもがいかに素晴らしいか という言葉ばかりです。

 

もう現実から逃避しているのです

我が子が一番
それはどの親も一緒です。

それはそれでとても大切で決して忘れてはいけないものです。

でもその反面
冷静に我が子を洞察しなければいけないのです。

 

子どもが傷つくことを恐れて
親が叱れない

その歪みが来ます。
だからトール君は善悪の判断がつきません

お母さんが

何でもトール君
トール君が一番

トール君の言うことだけを聞く

そうすると
自分の思い通りにいかなかった時に
実力行使し、、
暴力に走ります

それも必ず親が見ていない所で。

 

怒れないお母さんの本心
・怒ったら嫌われてしまうのではないか?
・この子が傷つかないだろうか?
・自分の子どもの現実を受け止められない。

怒れないお母さんの中にはそんな気持ちが潜んでいるのでしょう。

でも
真の信頼関係の構築があれば
いけない事をいけないと言っただけで
子どもはお母さんを嫌いになるでしょうか?

絶対になりません。

子どもの違う一面を見た時
親は

まさか、、、
ウチの子が、、、
ウチの子に限って、、、

とそんな気持ちがよぎる事と思います。

それもまた親心です

我が子が親の目の前で
お友達に意地悪をしていた、、、

親だから目を塞ぎたくなる事でしょう
現実逃避をしたくなる事でしょう、、

でもそれがまぎれもない
現実なのです。

 

その一面だけで
その子の価値が決まるのでしょうか?

決まりません。

我が子の価値は、可能性は、無限大なのです。

ここで諦めて
現実から目を背けて
子どもと向き合わない、、、

こんな勿体ない事はないです。
親として、してはいけないのです。

子どもへの愛情や評価は下げずに
大きく広い視野で現実を冷静に判断し
何故意地悪をしてしまったのか?

その原因はどこなのか

現実と向き合い早急に方向転換をしていく。

いけない事をした時には
きちんと叱る!

重要な事なのです。

 

 

「怒らない子育て」

怒りに振り回されてもダメですし
必要な時に怒れなくてもダメです。

「伝えて」「理解させること」

子供さんを一人の人間として尊重し
心の成長へと導く姿勢で愛する子供に接していきましょう。

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